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症状紹介
2013.05.03
明日から家族で旅行に行きますので・・・・
70代の男性が4ヶ月前から歩行時に胸が痛むとのことで来院されました。症状の特徴、持続時間、誘因、発生状況などから“狭心症”に間違いありません。問題は診断名ではなく、その重症度にあります。今すぐ緊急入院にすべきか、緊急ではなくとも早めに入院すべきか、或いは外来でよく調べてからにするかなど、重症度によって治療の進め方が違ってきます。さて、この患者さんですが、重症狭心症の“ニオイ”がしました。すぐに入院して精密検査を受けるようにお勧めしたところ、翌日から家族で旅行に行く予定だからすぐに入院はできないという返答です。悩ましい状況です。結局ご本人と相談の結果、即刻薬による治療を開始、1泊旅行から戻ったその日に当クリニックを再受診していただく約束で旅行に出かけていただきました。幸い旅先では症状もなく、お孫さんと楽しい時間を過ごされたようでした。翌週榊原記念病院に入院していただき、私自ら心臓カテーテル検査、冠動脈(心臓に栄養を供給する大切な血管)造影を行いました。左主幹部という冠動脈根本の太い部分にきつい狭窄が存在するという最重症の狭心症でした。直ちにステントという狭窄を拡げる器具を植え込み無事治療が終了しました(図)。その後患者さんの狭心症症状は完全に消失し、現在も元気に通院されていらっしゃいます。
この患者さんのように明日から旅行にいくので入院できないという例は珍しいことではありません。旅先で健康上の問題が起きるといけないので、出発前に医者に診てもらっておこうというのはよくある心情のようです。しかし、先ほどもお話しましたように、心臓病は重症度によってどれだけ迅速に治療を行わなければならないかが違ってきます。時には患者さんにはお気の毒ですが、旅を中止していただくこともあります。旅は治療後に十分に楽しむことができます。心臓手術後の患者さんに「旅行に行ってもいいですか?飛行機に乗ってもいいですか?」とよく聞かれますが、たいてい「どうぞ。いっぱい楽しんできてください」と答えています。
この患者さんのように明日から旅行にいくので入院できないという例は珍しいことではありません。旅先で健康上の問題が起きるといけないので、出発前に医者に診てもらっておこうというのはよくある心情のようです。しかし、先ほどもお話しましたように、心臓病は重症度によってどれだけ迅速に治療を行わなければならないかが違ってきます。時には患者さんにはお気の毒ですが、旅を中止していただくこともあります。旅は治療後に十分に楽しむことができます。心臓手術後の患者さんに「旅行に行ってもいいですか?飛行機に乗ってもいいですか?」とよく聞かれますが、たいてい「どうぞ。いっぱい楽しんできてください」と答えています。